2026.06.30
マンション空室の原因は設備?空室対策・家賃アップにつながる改善ポイント
賃貸アパート・マンション経営において、「空室をいかに減らし、安定した収益を維持するか」は永遠のテーマです。
しかし近年は、入居者のライフスタイルや価値観の変化により、これまで当たり前だった設備が敬遠されるケースも増えています。
築年数が同程度の物件でも、設備や管理状態によって成約率に大きな差が生まれる時代です。
また、近年は原材料価格や物流コストの上昇により、リフォームや設備更新の費用も上昇傾向にあります。
設備が故障してから対応するのではなく、計画的な改修を進めることが、空室対策だけでなく収益の安定化にもつながります。
本コラムでは、入居者に敬遠されやすい設備の特徴と改善方法、費用対効果の高い設備投資の考え方、さらに昨今の建材価格高騰を踏まえた改修戦略について解説します。(参考:国土交通省「住宅市場動向調査」)
|
|
1.時代とともに変わる入居者ニーズと敬遠される設備
住宅設備に対するニーズは時代とともに大きく変化しています。(参考:政府統計の総合窓口(e-Stat) 「建築物リフォーム・リニューアル調査」)
築年数の古い物件では、建築当時は人気だった設備が現在ではマイナスポイントになることも少なくありません。
①和式トイレ
現在では洋式トイレが一般的となっており、若年層を中心に和式トイレを敬遠する傾向があります。
高齢者にとっても足腰への負担が大きく、転倒リスクの観点からも避けられるケースが増えています。
②3点ユニットバス
浴室・トイレ・洗面が一体となった3点ユニットバスは、現在の賃貸市場では競争力が低下しています。
特に単身女性や社会人層では、バス・トイレ別や独立洗面台を重視する傾向が強くなっています。(参考: 国土交通省「住生活総合調査」)
③古いエアコン
黄ばみや汚れが目立つ古いエアコンは内見時の印象を悪くするだけでなく、
・電気代が高そう
・故障しそう
・カビ臭そう
といった不安を与えます。(参考:資源エネルギー庁「省エネ型製品情報サイト」)
④和室
現在の生活スタイルはベッド・ソファ中心です。
そのためフローリングの洋室が好まれ、和室は敬遠される傾向があります。
特に単身者向け物件では顕著です。
|
|
2.費用を抑えて収益化する設備改善のポイント
こうした敬遠される設備を放置していては、いくら家賃を下げても入居者を確保することは困難です。
しかし、やみくもに大掛かりな工事をすれば費用対効果が合わなくなります。
ここでは、コストを抑えつつ効果的に入居率や家賃をアップさせる具体的な改善方法をご紹介します。
2-1. アタッチメントを活用した和式トイレの洋式化

和式トイレを解体して、配管から工事し直して新たに洋式トイレを設置する場合、20万〜50万円ほどの高額な費用がかかってしまいます。
そこで費用をかけずに改善する方法として、「和式トイレの上に洋式トイレのアタッチメントを取り付ける」方法が非常に有効です。
このアタッチメントであれば数万円の費用で設置可能であり、さらにシャワートイレ(温水洗浄便座)を組み合わせたとしても、1カ所あたり5万円前後で「洗浄付便座」として募集できるようになります。
低コストで入居者の不満を劇的に解消できる費用対効果の高い投資です。
2-2. 3点式ユニットバスの「シャワー室とトイレの分離」

3点式ユニットバスを完全な「バス・トイレ別」に間取り変更してリノベーションする場合、給排水の移設などを伴うため100万〜180万円程度の大規模な費用が必要になります。
コストを抑えつつ需要に応える代替案として、「シャワーのみでいい」という若年層のニーズに応えた分離型商品が注目されています。
これは、浴槽を撤去して、半透明のドアで仕切られた「シャワー室」と「独立トイレ」に分離する工事です。
この工事の費用は100万円前後かかりますが、トイレが濡れるという最大の不満が解消され、「独立トイレ物件」として募集できるため、家賃のアップが見込めます。
仮に月8,000円(年間9.6万円)の家賃アップが可能であれば、投資利回りは10%前後となり、投資価値は十分にあります。
2-3. 最新エアコンへの交換による省エネ・快適性アピール

エアコンは故障してから交換するのではなく、空室対策として計画的に最新機種へ更新することが重要です。
古いエアコンの取り外しや処分にも費用がかかるため、入居者にとっても最初から省エネ性能が高く快適な最新機種がついていることは大きなメリットとなります。
物件情報に「最新省エネエアコン導入済み」と記載することで、電気代を気にする入居希望者への強力なアピール材料となります。(参考:経済産業省 資源エネルギー庁 )
2-4. 和室から洋室への変更と和モダンリフォームの費用相場

和室から洋室(フローリング)へ間取りを変更する場合、畳の撤去や床の補強、押入れをクローゼットに変更する工事などを含めると、6畳でおよそ20万〜50万円、クロスの張り替えまで含めると65万〜100万円程度の費用が目安となります。
すべてを洋室にする予算がない場合は、和室の雰囲気を残しつつ、畳と壁紙を変えることで「モダンな和室」としてデザイン性を高めるリフォームも費用を抑える一つの手段です。
など、現実的なキャッシュフローに合わせた調整が重要です。
|
|
3.家賃アップにつながる改修と失敗するリフォームの違い
フォームや設備投資を行う際、オーナー様が最も悩むのが「どんな改修をすれば家賃が上がるのか」ということです。
費用をかけたのに家賃に反映されないケースと、大掛かりな工事をしなくても競争力が上がるケースには、明確な違いがあります。
3-1. オーナー目線の“ムダなリフォーム”の落とし穴
最も陥りやすい失敗は、入居者が価値を感じない「オーナー目線のリフォーム」です。
オーナーが感じる「高級感が出た」「きれいになった」という自己満足は、必ずしも入居者の評価にはつながりません。
また、築古物件の利回り改善を狙って大規模なフルリノベーションを行い、立地や市場が許容する家賃の上限を超えて400〜600万円も投資してしまうのは、回収不能に陥る非常に危険な「ムダなリフォーム」の典型です。
3-2. 家賃設定の根拠は「市場比較」と「ターゲット像」で決まる
家賃を押し上げるための「価値ある改修」とは、工事の規模ではなく「入居者が生活の中で実感する利益」を生むかどうかで判断します。
改修内容は、周辺市場の競合物件がどのような設備を導入しているかという「市場比較」と、誰に住んでほしいかという「ターゲット像」によって決まります。
単身者であれば設備の豪華さよりも「ストレスなく生活できる利便性」が優先され、ファミリー層であれば「収納力や生活動線の効率性」が重視されます。
価値ある改修は、
①生活のストレスを減らす改善(収納不足、使いにくい水回り)
②安心・安全につながる改善(インターホンのモニター化、カビ対策)
③生活品質を上げるアップグレード(照明計画、使い勝手の良い洗面台)
の3つの領域に集中します。
3-3. 投資回収のシミュレーションと改修の優先順位
費用対効果を判断するには、「投資回収の目安」を持つことが不可欠です。
例えば、10万円の修繕費をかけて家賃を1,000円アップできた場合、単純計算での回収期間は約8年となります。
しかし、これに加えて「募集期間が短縮され空室損失が減る」「快適性が増して退去率が低下する(長期入居につながる)」といった総合的な収益改善効果をシミュレーションすることが重要です。
改修の優先順位としては、
①退去理由に直結しやすい箇所(水回りの劣化、カビ、収納不足など)
②内見時の第一印象(玄関の明るさや清潔感)
③差別化のための付加価値改修(デザイン洗面台やアクセントクロスなど)」
を行うのが、失敗しない鉄則です。
|
|
4.建材価格高騰時代に考える設備更新戦略
設備の改善を計画する上で、現在見過ごすことができないのが「世界情勢による物流とコストへの影響」です。
中東情勢の悪化は、皆様の賃貸物件のリノベーションや修繕計画に直結しています。
特に住宅設備や防水材、塩ビ製品などは石油由来原料の影響を大きく受けます。
故障してからでは遅い
設備が完全に故障してから交換を検討すると、
・納期遅延
・入居者クレーム
・退去リスク
につながる可能性があります。
エアコンや給湯器などは計画的な更新が重要です。
また、見積り取得後も価格改定が発生するケースがあるため、早めの判断が求められます。
|
|
5.建材価格高騰時代に考える設備更新戦略
室内設備への投資と同じくらい重要なのが、建物の外周りや共用部の改修です。
内見はわずか数分の勝負であり、第一印象が悪いと室内がどれだけきれいでも選ばれません。
ゴミ置き場
乱雑なゴミ置き場は物件全体の印象を大きく下げます。
清潔なゴミストッカーへの交換は効果的です。
集合ポスト
古いポストは防犯面でも不安を与えます。
ダイヤル錠付きや宅配対応型への更新は入居者満足度向上につながります。
共用部清掃
高圧洗浄や部分塗装だけでも印象は大きく改善します。
比較的少ない投資で効果が期待できるポイントです。
|
|
6. 満室経営の第一歩「賃料査定・空室対策レポート」の活用
設備投資を成功させるためには、「何を改善するべきか」を客観的に把握することが重要です。
空室対策の第一歩として、愛信ファシリティーズがご提供するデータ分析サービス「賃料査定・空室対策レポート(満室経営戦略レポート)」を活用してみませんか?

当社の「賃料査定・空室対策レポート」では、累計100億件超の不動産ビッグデータをAI(人工知能)が解析し、オーナー様の物件だけの最適な「満室経営戦略」をご提案します。
現在の市場における正確な賃料査定結果や、競合に勝つための推奨ターゲット、導入すべき設備、入居条件の緩和案などを即時にレポートとして出力します。

周辺の競合物件のデータを基に、正確な賃料査定結果はもちろんのこと、狙うべき「推奨ターゲット」、導入効果の高い「推奨設備」、入居を促進するための「条件緩和案」などを即時にレポートとして出力します。
無駄な設備投資を防ぎ、最短ルートで空室を埋めるための羅針盤として、ぜひ当社のレポート作成サービス(ご利用は完全無料)をご活用ください。
|
|
7.おわりに
賃貸アパート・マンション経営では、和式トイレや3点ユニットバス、古いエアコン、和室など、現在の入居者ニーズと合わなくなった設備が空室の原因となるケースがあります。
しかし、大規模なフルリノベーションが必ずしも正解とは限りません。
重要なのは、
・市場ニーズを把握すること
・費用対効果を見極めること
・計画的に設備更新を行うこと
です。
また、建材価格の高騰や納期遅延のリスクが続く現在は、「壊れてから考える」のではなく、「壊れる前に準備する」視点がこれまで以上に重要になっています。
愛信ファシリティーズでは、設備改善のご相談から建物管理、リノベーション工事までワンストップでサポートしております。
空室対策や設備更新をご検討中のオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。


