2026.06.08
【長期修繕計画の作成ポイント】賃貸経営で失敗しない維持管理と空室対策
賃貸マンションやアパート、ビルの経営において、建物の老朽化は避けて通れない課題です。
愛知県や名古屋市では、築年数が経過した賃貸物件が急増しており、計画的な修繕の重要性がかつてなく高まっています。
しかし、実際には
「長期修繕計画を定めていない」
「修繕積立金が不足している」
「国のガイドラインをどう活用すればいいかわからない」
といった悩みを抱えるオーナー様も少なくありません。
行き当たりばったりの修繕は、無駄なコストを生むだけでなく、入居者満足度の低下や資産価値の下落にもつながります。
賃貸経営を長期的に安定させるためには、建物の状態を正しく把握し、将来必要となる修繕費を見据えながら、計画的に維持管理を行うことが重要です。
本コラムでは、建物の健康状態と収益を維持するための「長期修繕計画」の作成ポイントから、国土交通省ガイドラインの実務的な活用方法、愛知県特有の地域課題を踏まえた維持保全のポイントまでをわかりやすく解説していきます。(参考: 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)(参考:愛知県「愛知県マンション管理実態調査の調査結果について」)
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1.なぜ「長期修繕計画」が必要なのか?
アパートやマンション、ビルなどの賃貸住宅経営は、建物を建てて終わりではなく、長期にわたって収益を上げ続ける事業です。
20年先、30年先においても高い家賃水準と安定した入居率を維持するためには、計画的な修繕が欠かせません。
1-1. 賃貸経営における長期修繕計画の重要性
建物のメンテナンスは、人間の健康管理とよく似ています。
定期的な健康診断を受け、早期に異常を発見することで、大きな病気を防げるのと同様に、建物も早めの点検・修繕によって大規模な劣化を防ぐことができます。
例えば、外壁のひび割れや屋上防水の劣化を放置すると、やがて雨漏りや構造躯体の腐食につながり、修繕費用が何倍にも膨れ上がるケースがあります。
逆に、計画的な修繕を行っている物件は、外観や設備の状態が良好に保たれ、入居者満足度の向上や空室率の低下にもつながります。
1-2.愛知県・名古屋市における老朽化の課題
愛知県では、築40年以上のマンションが今後急増すると予測されています。
愛知県の資料によると、築40年以上のマンションは2021年時点の約5.6万戸から、20年後には約23.9万戸に増加する見込みです。(参考:愛知県「愛知県マンション管理適正化推進計画」)
また、長期修繕計画を作成していない物件や、修繕積立金が不足しているケースも多く、建物の老朽化への対応が大きな課題となっています。
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2.長期修繕計画作成の具体的なステップと事例
2-1.外装や各設備の修繕計画を立てる
長期修繕計画を作成する際は、まず建物のどこに、どのタイミングで修繕が必要になるのかを整理します。
主な対象は以下の通りです。
- ・外壁・屋根・防水
- ・廊下・階段
- ・給排水設備
- ・給湯器
- ・エアコン
- ・インターホン
- ・共用灯
例えば、外壁塗装や屋上防水は12〜15年程度、給湯器は10〜15年程度で交換時期を迎えることが一般的です。(参考: 国土交通省「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」)
2-2. 30年を見据えた修繕計画と積立
一般的には20〜30年程度のスパンで長期修繕計画を作成します。
物件の築年数や物件の修繕履歴、間取り(単身向けか、ファミリー向けか)、構造(木造か、鉄筋コンクリート造か)、世帯数、共用部の大きさなど、様々な要素によって計上する予算や周期が変わってきますので、専門家などのアドバイスも交えながら作成していくとよいでしょう。
実際に事例として、
①木造、②延床面積360㎡、③2DKファミリータイプ8世帯の賃貸住宅の「長期修繕計画書」を作成してみようと思います。
まずは、修繕計画の周期と予算をまとめたものが下記の表となります。

今回の事例では、30年の長期修繕計画とし、30年以降も経営を継続することを前提に、30年目にも修繕を行う計画としました。
立案した各設備の修繕計画を「長期修繕計画書」に落とし込むため、各設備の修繕の周期と予算を入れていきます。このように、修繕計画を落とし込んでいくと、30年間で必要な修繕費が分かります。
今回の事例では、30年間で必要となる修繕費の合計は、3,516万円となりました。
次に、その修繕費をどのように調達するかですが、一般的には、修繕積立金という形で調達を計画します。
今回の事例では、年間115万円を積み立てることで、ほぼ積立金不足が起こらず、修繕計画を実施できることがわかります。

2-3. 現実の経営状況に合わせた調整
修繕計画は、理想論だけで作っても意味がありません。
家賃収入やローン返済額とのバランスを見ながら、
・修繕時期を調整する
・工事仕様を見直す
・優先順位をつける
など、現実的なキャッシュフローに合わせた調整が重要です。
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3.「長期修繕計画作成ガイドライン」の正しい理解と活用法
国土交通省では「長期修繕計画作成ガイドライン」を公表しています。(参考: 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)
ただし、ガイドラインはあくまで参考指針であり、すべての物件にそのまま当てはまるわけではありません。
3-1. ガイドラインで誤解されやすいポイント
よくある誤解として、
・ガイドライン通りなら安心
・修繕周期は固定
・必ず守らなければいけない
と考えてしまうケースがあります。
しかし実際には、建物の立地や構造、過去の修繕履歴によって最適な内容は変わります。
3-2. 定期的な見直しが重要
長期修繕計画は、一度作成したら終わりではありません。
資材価格や人件費の高騰、建物劣化の進行状況などを踏まえ、5年程度ごとに見直すことが推奨されています。
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4.愛知県の地域特性を踏まえた維持保全のポイント
4-1. 自主管理の限界
愛知県では、小規模マンションを中心に自主管理物件が多い傾向があります。
しかし、自主管理では専門知識不足から修繕時期を見誤るケースも少なくありません。
そのため、管理会社や建築士などの専門家と連携しながら、客観的に建物診断を行うことが重要です。
4-2. 南海トラフ地震への備え
愛知県は南海トラフ巨大地震の被害想定地域でもあります。
耐震補強や防災備蓄、防災マニュアル整備なども、長期修繕計画と合わせて検討しておく必要があります。(参考: 内閣府「南海トラフ地震対策」)
4-3. 修繕履歴の記録を残す
建物の点検や修繕履歴を記録しておくことも非常に重要です。
「いつ・どこを・どのように修繕したか」を記録しておくことで、将来の修繕計画や売却時にも役立ちます。
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5. 満室経営の第一歩「賃料査定・空室対策レポート」の活用
長期修繕計画を立てる最大の目的は、建物の資産価値を維持し、長期的に高い入居率を維持することです。適切な修繕が行われていない物件は、空室率の悪化や家賃下落を招き、結果的に収益力を失ってしまいます。
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6.おわりに
賃貸住宅の長期修繕計画は、将来発生する修繕費を見据え、建物の健康状態と収益性を維持するための重要な設計図です。
ガイドラインを参考にしながらも、建物ごとの状況に合わせて柔軟に調整し、定期的に見直しを行うことが大切です。
また、愛知県特有の老朽化問題や防災リスクも踏まえ、専門家と連携しながら適切な維持管理を進めることで、安定した賃貸経営につながります。
「修繕計画を見直したい」「今後の空室対策を相談したい」というオーナー様は、ぜひ愛信ファシリティーズまでお気軽にご相談ください。


