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2026.05.20

賃貸の建物構造はどう選ぶ?オーナーが比較すべき重要ポイント

賃貸の建物構造はどう選ぶ?オーナーが比較すべき重要ポイント

賃貸経営を検討する中で、「木造がいいのか、それともRC造がいいのか」といった建物構造の選択に悩まれるオーナー様は非常に多いのではないでしょうか。

一見すると、構造の違いは「建物の強さ」や「見た目」の問題に思われがちですが、実際にはそれだけではありません。
建物構造の選択は、家賃収入・税金・維持費・入居率といった、賃貸経営の収支そのものに大きな影響を与えます。

例えば、
・初期コストを抑えて高利回りを狙うのか
・長期的な資産価値やブランド力を重視するのか
といった方向性によって、選ぶべき構造はまったく異なります。

また、構造の違いは減価償却や固定資産税にも影響し、最終的に手元に残るキャッシュフローを大きく左右する要因となります。

本コラムでは、賃貸住宅の代表的な構造の特徴から、税金や減価償却との関係、そしてエリアやターゲットに応じた選び方まで、オーナー様が押さえておくべきポイントを分かりやすく解説していきます。

 

 

1.オーナーにとってなぜ「建物の構造」選びが重要なのか

賃貸経営を始める際、あるいは建て替えを検討する際には、「どの構造で建てるか」が収益性を大きく左右します。

建物構造は単なる見た目や強度だけでなく、以下のような経営の根幹に直結します。

・建築コスト(初期投資)

・家賃設定(収益上限)

・固定資産税などの税負担

・修繕・メンテナンス費用

・入居者満足度(防音・快適性)

つまり、構造選びは「収益を決める設計」と言っても過言ではありません。

選択を誤ると、「家賃が取れないのにコストだけ高い」「税負担が重くキャッシュが残らない」といった失敗につながります。

そのため、各構造の特徴を理解したうえで、収支視点で判断することが重要です。

 

 

 

2. 賃貸住宅の代表的な構造とメリット・デメリット

賃貸物件の構造は、大きく分けて「木造(W造)」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」の4種類が存在します。

それぞれの特徴を、オーナー視点(コストや収益性)と、入居者視点(住み心地や安全性)の両面から解説します。

建物構造別のメリットデメリット

2-1. 木造(W造)

コスト重視・利回り重視に最適

木造は、柱や壁といった主要な建材に木材を利用した工法です。

古くから日本の建築物に使用されてきた伝統的な工法であり、現在でも低層のアパートや戸建てなどで最も多く採用されています。

メリット

他の構造と比較して建設コスト(坪単価)が安価であるため、初期投資を抑えつつ高い利回りを狙いやすい点が最大の魅力です。

入居者にとっても、家賃や共益費が安く設定されやすいメリットがあります。また、木材は吸湿性や断熱性に優れており、通気性が高く湿気の多い日本の気候に合っています。

デメリット

鉄骨造やRC造に比べると、耐久性や強度の面で劣る傾向があります。また、最大の弱点は「防音性」です。

遮音性を高めることが難しく、隣室や上下階の生活音(足音やテレビの音など)が響きやすいため、騒音トラブルのリスクが高まります。さらに、耐火構造にしにくく火災への不安がある点や、高層建築に向かない点もデメリットです。

2-2. 軽量鉄骨造(S造)

コストと強度のバランス型

鉄骨造のうち、主要な構造体の鉄骨の太さが6ミリ未満のものを「軽量鉄骨造」と呼びます。

主に大手ハウスメーカーのプレハブ工法(工場で事前に構造体を制作し、現場に持ち込んで組み立てる工法)で広く採用されています。

メリット

木造の「コストの低さ」と重量鉄骨造の「強度の高さ」を併せ持った工法と言えます。工場生産のため品質が安定しており、工期が短いのも特徴です。

主に2~3階建てのアパートに用いられ、木造よりも耐震性や耐久性に優れています。

デメリット

防音性や断熱性に関しては、RC造には遠く及ばず、木造と同等かやや高い程度にとどまります。壁の材質によっては隣人との生活音が伝わりやすい傾向にあります。

また、高層の建物を建設することができないため、世帯数を増やすためには広大な敷地が必要となり、土地代のコストアップにつながる懸念があります。

 

2-3. 重量鉄骨造(S造)

中高層・収益性重視向け

主要な構造体の鉄骨の太さが6ミリ以上のものを「重量鉄骨造」といいます。

メリット

柱と梁の骨組みで強固に支えるため、3階建て以上の中高層建築が可能になります。また、耐火構造にもしやすいため、防火の規制が厳しい商業エリアなどにおいても高層の建物を建築することが可能です。木造や軽量鉄骨造に比べて上下階の防音性能も高めやすいため、より品質の高い賃貸住宅を建設するうえで優れた構造です。

デメリット

建設コストが割高になります。また、後述するように建物の固定資産税などのランニングコストも高くなるため、比較的高い家賃を取れるエリアでないと、賃貸経営の収支が悪化してしまう点に注意が必要です。

 

2-4. 鉄筋コンクリート造(RC造)

資産価値・ブランド重視

鉄筋を組んだ型枠に、コンクリートを流し込んで固めた構造です。分譲マンションや中高層の賃貸マンションなどで多く採用されています。

メリット

引っ張る力に強い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートの長所を掛け合わせているため、耐用年数が非常に長く、耐火性能・耐震性能が格段に高いのが特徴です。

さらに、建物の自重が重く密度が高いため、遮音性・防音性が非常に高く、隣室の音が気になりにくいという入居者にとって絶大なメリットがあります。

鉄筋コンクリートの賃貸住宅はそれ自体が一つの「ブランド」であり、安全性と快適性を求める入居者から高い人気を誇ります。

デメリット

最大のネックは、木造や鉄骨造に比べて建設コストが非常に高いことです。また、大規模修繕などのメンテナンス費用も高額になります。

居住面では、コンクリートの気密性が高すぎるゆえに通気性が悪く、結露やカビが発生しやすいという弱点があり、計画的な換気が求められます。

地価が高く、高い家賃設定が可能なエリアに建設しなければ、収益の確保が困難になります。

 

 

3.構造の違いによる「固定資産税」の差

建物を所有していると、毎年ランニングコストとして「固定資産税」が課税されます。(参考:総務省「地方税制度|固定資産税の概要」)

固定資産税は、毎年1月1日時点での不動産所有者に対し、市町村が算出した「固定資産税評価額」に1.4%(自治体により異なる場合あり)の税率を掛けて算出されます。

土地の評価額は地価の約7割とされ、住宅用地の軽減措置が適用されますが、建物の評価額は「その建物を将来、同一の材料で再建築した場合にいくらかかるか(再建築費)」を基準に算出されます。 この建物の固定資産税評価額は、築年数が古くなるにしたがって一定の年数をかけて下がっていき、最終的には新築時の20%まで下がります。

ここでオーナー様が知っておくべき重要なポイントは、「評価額の高さ」や「20%まで減価するスピード」が、建物の構造によって大きく異なるという事実です。

評価額が低く、減価のスピードが速い構造であれば、毎年の固定資産税の負担は早く少なくなります。

逆に、評価額が高く、減価のスピードが遅い(頑丈な)構造であれば、長期にわたって高い税金を負担し続けなければならないことになります。

建物構造別の㎡単価と減価のスピード

【シミュレーション:20年後の固定資産税の差】 

例えば、新築時の1㎡当たりの固定資産税評価額が、木造で「110,000円」、鉄筋コンクリート造(RC造)で「158,000円」だったと仮定します。
20年が経過した時、減価スピードの速い木造の評価額は、底値である「22,000円」まで下がりきっています。
一方、RC造はまだ減価の途中にあり、評価額は「87,000円」と高い水準が残ったままになります。
つまり、築20年の時点で、RC造のオーナーは木造のオーナーの約4倍もの建物の固定資産税を支払い続ける計算になるのです。
頑丈で耐久性の高い建物を建てるということは、それだけ税負担も重く、長引くということを収支計画に織り込んでおく必要があります。

 

 

4.構造選びを左右する「法定耐用年数」と減価償却

賃貸経営における「税引き後のキャッシュフロー(手元に残る現金)」を最大化するために不可欠な知識が、「法定耐用年数」と「減価償却費」の仕組みです。

建物を建築・取得した際にかかった莫大な費用は、その年に全額を経費にするのではなく、法律で定められた「法定耐用年数」にわたって、毎年少しずつ分割して経費計上していきます。

これが減価償却費です。 減価償却費の最大の特徴は、「実際には現金が手元から出ていかないのに、会計上は経費として計上できる」という点です。

減価償却費が多ければ多いほど、帳簿上の利益(不動産所得)が圧縮されるため、支払う所得税や法人税を大幅に少なくすることができ、結果として手元により多くのキャッシュを残すことができます。(参考:国税庁「耐用年数表主な減価償却資産の耐用年数表」)

この減価償却費を算出するベースとなるのが法定耐用年数であり、年数が「短ければ短いほど」、その年に経費として計上できる減価償却費の枠は増えます。

賃貸住宅の構造別の法定耐用年数は以下の通り細かく決められています。

・木造:22年

・軽量鉄骨造(骨格材3mm超4mm以下):27年

・重量鉄骨造:34年

・鉄筋コンクリート造(RC造):47年

【シミュレーション:取得費1億円の建物の減価償却費】

例えば、取得費が「1億円」の建物を新築した場合で比較してみましょう。

・木造(22年償却)の場合、年間で約455万円を経費として落とすことができます。

・鉄筋コンクリート造(47年償却)の場合、年間で約213万円しか経費として落とすことができません。

つまり、RC造の場合、木造に比べて年間で「242万円」も経費で落とせる額が少なくなります。

仮に税率が30%だと仮定すると、RC造のオーナーは木造のオーナーよりも、毎年「60万円以上」も多くの税金を支払わなければならない計算になります。

「節税効果を高め、早期に現金を回収する」という投資の観点から見ると、あえて耐用年数の短い木造を選択するというのも、非常に理にかなった戦略と言えるのです。

 

 

5.エリア特性とターゲット層に合わせた構造の選び方

ここまで解説したように、集合住宅をどの構造で建てるかによって、イニシャルコストや、建てた後の税金などのランニングコストが全く違ってくることがお分かりいただけたと思います。

防音性や耐火性など、建物の品質や居住性の面では、鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)が非常に優れていますが、その分コストは高くなります。

一方で、木造は遮音性を高めたり高層化したりすることは難しいものの、建築費や維持費などのランニングコストを抑え、高利回りな経営を目指すことができます。

賃貸経営の最大の目標は、「入居者に長く住んでもらい、安定して収益を上げ続けること」です。

そのためには、オーナー様の好みだけで決めるのではなく、その土地の特性と、想定されるターゲット層のライフスタイルに合致した構造を選択することが重要です。

【単身者向け】 

初めての一人暮らしをする学生や新社会人などは、立地の利便性と「家賃の安さ」を最優先する傾向があります。

そのため、建築コストが抑えられ、家賃設定をリーズナブルにしやすい「木造」や「軽量鉄骨造」がマッチしやすく、人気を集めます。

【ファミリー向け】

 小さなお子様がいるご家庭などは、上下階への足音などの生活音の配慮や、長く快適に住める断熱性、そして災害に対する安全性を強く求めます。

そのため、防音性や耐久性に圧倒的に優れる「鉄筋コンクリート造(RC造)」や「SRC造」が適しています。

オーナー様は、建設を検討しているエリア内の「構造別の賃料相場」を把握し、どのような賃貸需要があるのか、どのような設備が求められているのかをしっかりと調査した上で、どの構造で建設するのがベストかを検証していく必要があります。(参考:国土交通省「住生活基本計画(全国計画)

また、どの構造を選んだとしても、建物は必ず経年劣化します。

建物の寿命を延ばし、入居者のクレーム(防音トラブルや設備不良など)を防ぐためには、日々の清掃や法定点検といった「適切な建物管理・メンテナンス」が必要不可欠です。

愛信ファシリティーズが提供するような、プロフェッショナルによる高品質なファシリティサービスを取り入れることで、構造の持つポテンシャルを最大限に引き出し、資産価値を長期にわたって維持することが可能になります。

 

 

 

6. 満室経営の第一歩「賃料査定・空室対策レポート」の活用

「構造の違いは理解したが、自分の所有する土地にはどのプランが最適なのか」「既存物件の空室が埋まらないが、家賃設定や設備投資の方向性が合っているのかわからない」とお悩みのオーナー様も多いでしょう。

賃貸経営を成功に導くためには、勘や経験則に頼るのではなく、客観的なデータに基づいた戦略が不可欠です。

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7.おわりに

賃貸住宅の構造選びは、
単なる建物の選択ではなく「経営戦略」です。

・建築コスト

・税金

・減価償却

・入居者ニーズ

これらを総合的に判断することが重要です。

「どの構造が正解か」は一つではなく、エリアとターゲットによって変わります。

長期的に安定した賃貸経営を実現するために、データに基づいた判断と適切な管理体制を整えていきましょう。

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